素人でもできる
HDDの修理と復旧方法

2012/12: 初版
2017/11: 更新


目次


  1. はじめに
  2. HDD故障の現象確認
  3. HDD故障の原因究明
  4. HDDのソフト故障

  5. HDDのモーター回転不良
   1)概要
   2)HDDを暖める
   3)モーターを手で回す
   4)モーターを別のHDDで駆動する

  6. HDDの回路基板不良
  7. 専門業者に依頼する



5. HDDのモーター回転不良


1)概要


HDDの不良がハード的な故障だと分かった所で、次にやる事はHDDのハード故障の中で最も多いHDDのモーターが回っているかどうかの確認です。

これはUSBアダプターの電源をHDDに接続すれば、駆動音と振動で分かると思います。

それでもしHDDのモーターが回っていないのでしたら、以下の3点を実施します。

①HDDを暖める
②モーターを手でまわす
③モーターを別のHDDで駆動する


もしモーターが回転しているのでしたら、次章の”6. HDDの回路基板不良”に進んで下さい。

なお、HDDのモーターは電源を投入すれば常時回転していますので、もし途中で止まる様な場合はモーターの駆動回路が壊れている可能性が高いので、③を実施してみて下さい。

兎にも角にも、諦めない事です。


2)HDDを暖める


先ずは一番簡単な方法です。

最近のHDDに使われてモーターは、一般的なボールベアリングではなく、流体軸受が使われている事が多くなっています。

                     
       ボールベアリングのモーター       流体軸受のモーター

この流体軸受けは、ボールベアリングの剛球の代わりに、軸と軸受の間にオイルを充填させ、それによって高速回転する軸を支える機構になっています。

これによって騒音や振動の少ない高速回転が可能なのですが、起動時の回転抵抗が大きく、更に低温時にオイルの粘性が高くなる、或いは長時間放置するとオイルが固着し易い等の欠点もあります。

このため、長期間使用しなかったHDDを冬場に使用しようとしてモーターが回らない場合は、HDDを暖めると復帰する可能性は十分あります。

なおHDDを暖める方法ですが、決してドライヤー等で一気に暖めてはいけません。

この場合局所的に熱を加えてしまい、筐体を一時的にせよ変形させてしまう恐れがありますので、暖かい居間にでも置いて、焦らずにのんびり(それこそ一昼夜かけて)暖める事が大切です。

また暖める温度ですが、常温の25℃前後で十分です。

また一概にはいえませんが、再起動する時は、軸と軸受との接触圧力が少なくなる様に、HDDを縦置きではなく水平に置くと事をお勧めします。

またどうしても回転しない場合は、(大きな声ではいえませんが)試しにHDD単体を叩いてみる手もあります。

誰に聞いてもHDDに衝撃を与えてはいけないと言うでしょうが、(昔の電化製品の様に)HDDを軽く叩いて動き出す事は良くある事です。


3)モーターを手で回す


もしそれでもモーターが回転しない場合の奥の手ですが、HDDのカバーを開けて手でモーターを回してみます。

前記しました様にHDDを長時間使用していないと、軸と軸受が固着している可能性があるので、モータを手で回してその固着を解除してやろうという訳です。

これも通常やってはいけないと言われている事ですが、これからお話する環境と手順を守れば、そのリスクを大幅に低減できます。

手順を以下に示します。

①工具(★型ドライバ)の準備

ご存じかもしれませんが、HDDのカバーは特殊なビスで止められています。

ですので、カバーの止めビスの頭(正確には穴)の形状を見て、その形にあったドライバーを準備しましょう。

急ぐ気持ちも分かりますが、慌てて近所の量販店で購入するより、アマゾンで購入した方が落ち着いて安く買えます。

       


②作業場所の準備

先ず、常温常湿(25℃/50%RH前後)で埃(ほこり)と風と温度変化の少ない部屋を準備します。

更にHDD本体も(ついでにこれから使用するドライバーも)、室温と同じ温度になる様に、その部屋に一晩置いておきましょう。

その理由ですが、冷えたHDDを常温で開封すると、開けた瞬間にHDDの内部が一気に結露する可能性があるからです。

またメーカーにおけるHDDの組立も常温常湿(25℃/50%RH前後)の環境で行われていますので、今回の分解組立時における温度差による筐体の膨張や歪みを最小限にできます。

なおHDDの開封はクリーンルームで行わなければいけないという記述がネット上に多々見受けられますが、上記の様な環境でしたら殆ど問題はありません。

また作業時間は、空中にまった埃が床に落下したであろう早朝が良いかもしれません。

なおクリーンルームにおける最大の敵(ゴミ)は人間です。

ですので、折角落ち着いた埃を歩き回って舞い上げたり、HDDを掴(つか)んで温めたり、HDDに息をかけて曇らせたりしない様に注意が必要です。


③開封

HDDのカバーに付いているビスを外して、HDDを開封します。

ビスを緩める順番ですが、筐体に余計な歪を発生させないために、カバーの4隅から緩め、最後にカバー中央部のビスを外す事をお勧めします。

またビスを1本ずつ外すのではなく、全部のビスを一度緩めてから、1本ずつ外すのが無難です。

なお固定ビスの1本が封印シールで隠されていると思いますが、どのみち壊れているのですから、大胆に剥がしてしまいましょう。

④モーターを回す

カバーを開けたら、ディスクのフチを軽くを手で回します。


このとき回転が重かったら、もしかしたらそれで復帰したかもしれません。

なおディスクのフチを直接触るのが心配でしたら、埃の付かない手袋でもはめて下さい。

⑤密封

カバーを閉めます。

ビス閉めの順番ですが、カバーのビス穴を良く見ると、丸穴と楕円穴(もしくは大き目の穴)があると思います。

この場合、丸穴が位置決めの穴になりますので、(筐体の歪みを防ぐため)最初に位置決めの穴のビスを固定し、次に四隅の穴を対角線でビス止めしていきます。

⑥確認

作業が終了したらHDDにUSB変換アダプタを付けて電源を投入します。

もしモーターが回転すれば作業終了です。


4)モーターを別のHDDで駆動する


もし上記の方法でもモーターが回転しなければ、モーターの駆動回路が壊れている可能性があります。

これについては、HDDの回路基板をまるごと交換する手もありますが、手っ取り早くモーターを駆動させる手をご紹介します。

まず故障したHDDと同じタイプのHDD、それにワニ口クリップ付きのケーブルを5本USB変換アダプタを2台を用意します。

       

次に以下の様に、故障したHDDのモーターの端子に、同タイプのHDDのモーター駆動信号をワニ口クリップ付きのケーブルを使って接続します。

    

なお当然ながら、両方のHDDとも元から付いている回路基板とモーターの接触は断っておく必要があります。(上の図でいうと、モーターと基板の間の端子を外す)

最後に、故障したHDDにI/F信号と電源、正常HDDに電源を投入します。

この場合、両方のHDDに電源を供給しなければならないため、USB変換アダプタは2台必要になります。

もしモーターの駆動回路のみが壊れている場合、これでモータが回転しますので、回路基板を交換するより簡単にデータを救済できます。

もしそれでも復旧できない場合は、最後の手段として次頁の回路基板交換を行ってみて下さい。

くどい様ですが、最後まで諦めてはいけません。




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6. HDDの回路基板不良



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これをお読み頂ければ、現在のHDDの状況を正確に把握できると思います。

そして必ずや道は開けると確信していますので、是非とも参考にして頂ければと思います。


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