ロジックで迫る
雪道に強いクルマとは



Issued on Jan. 14, 2015
Reviced on Jan. 6, 2016

 1. はじめに
 2. 雪道に強いクルマ
 3. 雪道に弱いクルマ
 4. 雪道走行に必要な装備
 5. 雪道走行での心構
 6. 雪道での運転テクニック
  6-1. 概要
  6-2. オーバーステア
  6-3. アンダーステア
  6-4. ブレーキロック
  6-5. 直線路でのスリップ
  6-6. スタックした場合の脱出方法←2016/1/6追加
 7. まとめ

6. 雪道での運転テクニック


6-1. 概要


お待たせしました。

それでは次に雪道での運転テクニックについてお伝えします。

恐らくご存じない話もいくつかあると思いますので、是非期待して下さい。

さて、雪道は一般道と比べてどう危ないのでしょう。

そう聞かれれば、どなたもスリップし易いから危ないと答えられるでしょう。

ではクルマのスリップには、どういう種類があるのでしょうか?

通常でしたらオーバーステア、アンダーステア、ブレーキロック3種類かもしれませんが、本書では直線路のスリップを入れた4種類とその回避策をご紹介したいと思います。

そして最後に、万一スタックした場合の抜け出し方もお伝えしたいと思います。

という訳で、それでは一つずつ順に見ていきたいと思います。


6-2. オーバーステア


【現象】

オーバーステアとは、ハンドルを曲げた以上にクルマが曲がる事を指します。

      

この現象は主にFR車でスピードを出し過ぎてコーナーに進入すると発生しますが、稀にFFでも発生する場合があります。

【原因】

この原因は、駆動力の掛った後輪の荷重が軽いために後輪が横滑りし、ハンドルを切った以上にクルマが内側に向くためです

              


【対策】

この対策は、コーナー進入前に十分減速する事です。

またもしオーバーステアになってしまった場合は、ハンドルを逆に切る事で事故を回避する事が可能になります

これをカウンターステアーと呼びます。

      

なぜこれで事故を回避できるかと言えば、後輪が横滑りする事で内側に向いたクルマを、前輪を逆に向ける事で帳消しにできるからです。

なおこのカウンターステアですが、内側に向いたクルマを外側に向ける自然な行為ですので、特に意識しなくても誰でも行えます。

【重要な補足】

通常の手引書はここでおしまいなのですが、本書は違います。

実はこのカウンターステアには、この後に更に気を付けなければいけない事があるのです。

通常この様なオーバーステアーになると、誰もが無意識にアクセルも緩めてしまいます。

そうすと、どうなるか?

カウンターステアによって、取り合えずガードレールへの衝突が避けられたとしても、スピードが低下すると後輪のグリップが回復します。

ところが前輪は外側に向いたままですので、今度はいきなり車体が反対に向いてしまうのです。

となるとドライバーは慌てて、またハンドルを逆に切って蛇行したり、最悪の場合カーブと反対向きにスピンという訳です。

この2度目の危機を避けるには、カウンターを当てた後、今度は後輪のグリップが回復した場合に備えて、徐々にハンドルを戻さなければいけないという事です

むしろこちらの方が重要度は高いと言えるかもしれません。

そしてもっと上級の回避策としては、万一後輪が滑り出してもアクセルを戻さず、後輪を滑らせた状態でカウンターを当て、クルマがカーブ出口に向かい出したら徐々にハンドルを戻す事です。

ただし、これは練習が必要です。


【まとめ】

以上をまとめますと以下の様になります。

雪道のカーブでオーバーステアになった場合は、ハンドルを反対に切る事で、回復できる。

ただし徐々にハンドルを戻さないと、2度目の危機が襲ってくるです。





6-3. アンダーステア


【現象】

アンダーステアは、オーバーステアの反対で、ハンドルを切っても曲がらない事を指します。

この現象は、FF車においてスピードを出し過ぎてコーナーに進入すると発生します。

         

【原因】

原因は下の図の様に、駆動の掛った前輪がスリップして、ハンドルを切った方向に曲がってくれないためです。

              

【対策】

これを避けるためには、カーブに進入する前に十分減速する事です。

またもし止むを得ずアンダーステアーになった場合の対処方法は、とにかく前輪のグリップが戻るまでスピードを落とす事です。

減速すると、前輪に荷重が掛りますので、より前輪のグリップが回復し易くなります。

通常ですとコーナリングのブレーキは禁物ですが、この場合直前の危険を回避するためには、必要になります。

【更なる対策】

前記した対策を実施したものの、どうしても前輪のグリップが回復せず、あとはガードレールにぶつかるしかないとなったらどうしますか?

実は最後の手段が残っているのです。

あくまでも最後の手段ですが、サイドブレーキを引いて後輪をスライドさせ、オーバーステアを誘発させるのです。

そうすれば、車両の向きを一気にコーナーの内側に向ける事が可能になります。

これで確実に危険を回避できるとは言えませんが、もしぶつかるしかない状態でしたら、試してみる価値はあると言えます。


6-4. ブレーキロック


【現象】

これは容易に想像できると思います。

雪道を走行中に強めのブレーキを踏むと、どれかのタイヤのグリップが失われ、クルマはあらぬ方向に勝手に滑っていきます。

この現象の恐い所は、カーブに限らず直線路でも発生する事と、真っすぐ滑るのでなく、自転しながら滑っていくため、制御不能に陥る事です。

【原因】

原因もご存じでしょう。

雪道ですと、タイヤの摩擦抵抗が低下しますので、ブレーキが簡単にロックします。

ブレーキがロックすれば当然タイヤもロックしますので、そうなるとハンドルは全く効かなくなります。

そうなるとそれまでの運動エネルギーを全て使い果たすまで、抵抗の少ない方向にクルマは回転しながら滑り続けます。

【対策】

これも今更ながらですが、当然ながら強くブレーキを踏まない事で、そのためにもスピードを出さない事です。

とは言え、誰もが知りたいのは、もしこうなった場合の対処方法でしょう。

ですが、残念ながらできる事はありません。

理論的に考えれば、滑る車体の移動方向が駆動輪と同じ向きになったときに、車輪に駆動を掛ければもしかしたらグリップを取り戻せる(態勢を安定させられる)かもしれません。

ですが、実際にそれができるとは到底思えません。

なおこれが故に、現在はABS(アンチロックブレーキシステム)が普及していると言えます。


6-5. 直線路でのスリップ


【現象】

恐らくこの現象を認識されている方は、かなり少ないでしょう。

貴方は雪の降る中、自分のクルマに乗って家路を急いでいます。

クルマはFF車で、夏タイヤの前輪にチェーンを付けており、雪道とは言え轍にはアスファルトがのぞいています。

そんな中、平坦な直線路を時速40kmで走行中に、突然クルマが向きを変えます。

そしてアレヨアレヨと思う間もなく、クルマは半回転して路肩の雪だまりに乗り上げて止まります。

対向車やガードレールにぶつからなくて良かったと思いつつも、真っすぐ走っていただけなのに、なぜスピンしたのだろうと訝りながら帰路につきます。

上記の様な事は、実際に発生します。



試しにYouTube等で雪道/直線/スピンと検索すると、同じ様な現象の動画がいくつも見れます。

とにかく直線路でも、何の前触れもなく突然滑り出す事がある事を認識すべきです。


【原因】

警察の発表ではスピードの出し過ぎが原因と言うのでしょうが、正直な所、明確な原因は分かりません。

あくまでも推測ですが、走行中にどれかのタイヤのグリップが一瞬失われ、車両の向きが突然変わったのかもしれません。

もしかしたら、わずかにアクセルを踏んで駆動輪のどちらかがスリップしたのかもしれません。

ただし、走行中のあるタイヤが路面に貼りついたのならともかく、あるタイヤが滑って、直進しているクルマの向きを変えるほどの力(モーメント)が、発生するのかという疑問が生じます。

ただ分かっているのは、真っすぐ走っていても突然クルマは向きを変える事があるという事実です。

何度も述べますが、発生する事は間違いありません。


【対策】

この対策も二つしかありません。

一つ目はスピードを出さない事。

そして二つ目は、トラクションコントロール機能の付いたクルマを買う事です。

原因があるタイヤの滑りだとすると、トラクションコントロールがこの現象を抑制してくれる可能性は十分あります。


6-6. スタックからの脱出方法


【現象】

雪道を運転した事がある方でしたら、何方も経験されているのではないでしょうか?

下の動画の様に一度信号待ちで止まって再発進しようとしたら、タイヤが空転して前に進めなくなった。


そしてアクセルを踏めば踏むほどタイヤが空転して、雪の中にタイヤが沈み込んでどんどん抜け出せなくなった。

【原因】

もしその原因が、タイヤが雪でスリップしたためだと思われたとしたら、残念ながらそれは正解の半分にも達していません。

嘘だと思ったら、空転しているタイヤの反対側のタイヤがどうなっているか見て下さい。

同じ様に空転しているでしょうか?

そんな事はなくて、全く回転していないのです。

変だと思いませんか?

いくらアクセルを分でも、片側のタイヤは勢い良く(虚しく)空転しながら、片側のタイヤはピクリとも動かないのですから。

この理由は簡単で、両方の駆動輪の間にには差動機構と呼ばれるギアの集合体が付いていて、これで旋回時における左右の車輪の速度差を吸収する事ができるのですが、雪道の様に一方の車輪が空転すると、片方の車輪には駆動が全く伝わらなくなるという問題が発生するのです。

【対策】

さて、そうなった場合の対策ですが、無負荷になったタイヤ(この場合空転しているタイヤ)に負荷を掛けてやれば、片側のタイヤは回転します。

その方法ですが、思い付くのは空転しているタイヤの下に砂を撒いたり毛布を敷く事でしょうが、はっきり言ってこれはかなり面倒です。

てっとり早いのは、人がこの空転しているタイヤを掴んで抑えてやっても良いのですが、さすがにそれは危険です。

他にもっと簡単に、空転しているタイヤに負荷を掛ける方法はないでしょうか?

そうです。

軽くブレーキを踏んでやれば良いのです。

その状態でアクセルを踏めば、それまで止まっていた片方のタイヤに駆動が伝わりますので、うまくいけばスタック状態から抜け出せるかもしれません。


なおFR車の場合でしたら、サイドブレーキを引けば後輪にのみにブレーキを掛ける事ができますので、全輪にブレーキを掛けるフットブレーキより、効率良く空転したタイヤに負荷を掛ける事ができます。

実は最近のクルマに搭載されているトラクションコントロールという仕掛けは、同じ様な事を自動で行っているだけの事なのです。

これで確実にスタックから抜け出せる訳ではありませんが、いざという時には試してみる価値があります。


さて次はまとめですが、その後も応用編がまだまだ続きます。



6. 雪道での運転テクニック

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5. 雪道走行での心構

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7. まとめ





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