小学生でも分かるトルクと馬力の話 
(本当に早いクルマとは?)


 20. テクニック編Ⅱ
  20-1. カーブでの運転姿勢
  20-2. バイクとクルマのコーナーの傾き
  20-3. ハングオンの効果

第20章:テクニック編Ⅱ
(カーブにおける合理的な運転姿勢とは?)


20-1. カーブでの運転姿勢


こんな話を聞かれた事はありませんか。

カーブでは体を傾けないで、垂直を維持する。

いかにもそれらしいアドバイスですが、本当でしょうか?

もしかしたら、自動車レースを見て言われているのかもしれませんが、レーシングカーのシートはご存じの様にコーナリング時の横G(遠心力)に耐えるバケットタイプになっていますので、体を傾け様にも傾けられないのです。

実際F1カーの様にドライバーが交代しない場合、オーダーメードのバケットシートになっていますので、別の体型の人が乗る事もできない程ぴったりした作りになっています。

これに対して一般車のシートは、万人が運転できる様になっていますので、ちょっとしたスピードでカーブを曲がると体が外側に持っていかれます。

その時踏ん張って、体を垂直にしていていた方が良いでしょうか、それともバイクの様に内側に傾けた方が良いのでしょうか?

これも異論があるかもしてませんが、本サイトでは”傾ける”を推奨したいと思います。

理由は二つあります。

先ず1点目は、体を内側に傾けた方が、体を支え易いのです。

左下の写真をご覧頂きます様に、カーブでは外側に引っ張る遠心力(赤の右矢印)が働きます。

このとき、地球から重力(黄色の下矢印)も加わりますので、両者が合わさって斜め下方向の力(白の矢印)が、クルマにも人にも働きます。

         
          右カーブ                 右カーブ

となると、体を内側(上の写真の場合左側)に傾けた方が、二輪車の様に体を支える事を考えれば楽なのです。

二点目は、非常に僅かではありますが、体を内側に傾ける事によって、クルマの重心位置を内側に移動できるからです。

コーナーでは、写真(上左)でも分かる様に外側のタイヤに荷重が掛り(逆に言えば内側のタイヤに荷重が掛らない)ので、少しでも体重をを内側に傾ける事によって、外側の荷重を減らし内側の荷重を増やす事ができます。

実際サイドカーにおいては、この傾向が顕著で、以下の写真の様にパッセンジャーは体重を移動して常にカーブの内側に重心を掛けてコーナーをクリアしていきます。

   
         右カーブ                   左カーブ

これによって、内側のタイヤが空転する限界速度を上げる事ができるという訳です。

本項の結論です。

カーブになったら、積極的に体を内側に傾けるべきです。




20-2. バイクとクルマでコーナーでの傾き方向が違う理由


バイクの話が出た所で、この話もしない訳にはいかないでしょう。

前述の写真において、クルマの方はカーブの外側に傾いているのに、バイクはカーブの内側に傾いています。

変だと思いませんか?

ですが、クルマが外側に傾く理由は簡単に説明できます。

             

カーブを曲がっている最中は、クルマにの遠心力(赤い矢印)が働く事は既にお伝えした通りですが、この力が加わるとどうなると思いますか?

上図の様な場合(クルマの中心位置に加わわる場合)だとイメージし難いかもしれないので、少し極端にクルマの屋根に赤い矢印の方向に力が加わった場合を想像してみて下さい。

となると、当然写真の様にクルマが傾くのは分かって頂けると思います。

すなわち、クルマは常にカーブの外側に傾くのです。

ではなぜ、バイク(人も自転車もですが)はカーブの内側に傾くのでしょう。

先に答えを言ってしまいますと、バイクの場合も、当然カーブで外側に傾こうとするのですが、それでは倒れてしまうので、ライダーが車体を内側に傾けてバランスを保っているのです。

ではなぜ内側に傾けるとバランスが保てるのか、力学的に考えてみましょう。

難しそうに思いますが、これも非常に簡単な事です。

      


:先ずバイクが真っすぐな道を走っています。この場合、黄色の重力しか働いていません。

:次にカーブ差し掛かりました。この場合赤い遠心力が働きます。
  真っすぐ立っている物に、横から力を加えられたらどうなるか?
  タイヤと地面の接触点を中心にしてバイクを右方向に回すオレンジの力(これが以前お話しま
  したモーメントです)が発生しますので、このままですと当然右側に倒れてしまいます。

:でもカーブに差し掛かった時に、左側に傾いたらどうなるでしょう?

  このままだと矢印が増えて複雑になるので、もっと簡単な絵にしてご説明しましょう。

       

ちょとイメージが変わり過ぎたかもしれませんが、バイクを簡略した絵です。

:真っすぐ走っていますので、重力だけが働いています。

:カーブに差し掛かって遠心力が加わりますので、オレンジの矢印方向に回転しようとします。
  このとき転ばない様にするためには、赤い矢印と逆方向の力を加えてやれば良いのです。

:そのためにはどうするかですが、バイクを内側に傾けてみます。
  そうすと、重力がバイクの中心軸から外れる事によって、青色の力が生じ、バイクを左側に回
  転させようとする水色の回転力が生じます。
  この左に回転させる力が、同じく遠心力から生じたオレンジの回転力(右に回す力)と同じに
  なれば、二つの回転力はつり合ってバイクは倒れないという訳です。

絵は少々複雑ですが、原理としては簡単な事です。

ただしこのとき、バイクを傾ける量が少なければ右側(外側)に倒れますし、傾け過ぎればこんどは左(内側)に倒れてしまいます。

人間というものはたいしたもので、それを自然にコントロールしているという訳です。

そういえば、子供の頃に初めて補助輪無しで自転車に乗ったときに、以下の様な経験をした事はありませんか?

曲がろうと思ってもどうすれば曲がれるか分からずに、そのまま壁にぶつかった。

              

或いは、ハンドルを切ったら転びそうになり、思わず逆にハンドルを切て転んでしまった。

これはカーブで自転車を傾けないと曲がれないという事を、まだ身体と脳が理解できていないからです。

ただし、何度が傾けると曲がるという事を体感すると、脳がそれを認識して自転車で曲がるという事を自然にできるようになるという訳です。

4輪のクルマと違って、バイクでは内側に傾けない限り曲がらないという事を、これでご理解頂けましたでしょうか?

さてまとめです。

上段で矢印をいっぱい書いてしまいましたが、これをシンプルにまとめると、お馴染みの以下の写真になります。

             

これが何を表しているかと言えば、重力(黄色の矢印)と遠心力(赤色の矢印)を合わせた白い矢印に沿ってバイクを傾ければ、バランスが取れる(倒れない)という事です。

ここまで分かってくると、もっと面白い事が分かってきます。

バイクのレーサーがコーナーで身体をずらしている姿(ハングオン)を見ますが、こうすると何故コーナリング性能が良くなるのでしょうか。


20-3. ハングオンの効果


それでは何故ハングオン(上体を内側にずらす)をすれば、コーナリング性能が良くなるかご説明したいと思います。

     


先ず前項のCの絵を思い出して下さい。

  

バイクでカーブを曲がるには、遠心力とバランスを取るため車体を内側に傾けました。

そうすると倒れはしないのですが、タイヤと地面の間には赤い矢印の力が発生し、(スピードが上がり)更なる遠心力に耐えるためにどんどん車体を傾けると、いつかタイヤが赤い矢印の方向に滑り、ついには転倒する事になります。

これを防ぐためには、どうすれば良いか?

車体の傾きを、極力少なくすれば良い事になります。

そのためにはどうするか?

では次にバイクに乗っている人が、車体の中心からずれて乗った場合を考えてみます。

      

上の図のAの様に乗ると重心が左にずれる事から、このままではオレンジの方向に倒れてしまいます。

ところが、車体を右に傾けると重心がタイヤと地面の接触点に向きますので、倒れないで進む事ができます。

自転車で片方のペダルにのみ足を掛けて乗ると、この状態になります。

ではこの状態で青い矢印の方向に曲がるとどうなるでしょう。

すると見事に遠心力とバランスが取れて、車体を傾けなくてもカーブを曲がれるという事です。

すなわちハングオンを行うと、車体を傾ける量を減らしてカーブを回れるので、より早いスピードでカーブを走れるという訳です。

             

またまたいつもの写真ですが、もしこの写真の様にハングオンしないでカーブを曲がると、車体はもっと内側に傾く事になります。

またカーブ内側の膝を突き出すのは、重心をカーブの内側に移動させるためで、傾き具合を知るためではありません。

なおこのハングオンスタイルは、何もレースだけでなく、雨で滑り易いカーブを自転車で走る場合でも有効です。

知ってしまうと簡単な事です。




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