小学生でも分かるトルクと馬力の話 
(本当に早いクルマとは?)



 23. 応用編
  23-1. 夢のクルマ
  23-2. トルク重視FF小型スポーツカー
  23-3. トルク重視4WD小型スポーツカー
  23-4. 国産映画
  23-5. 4WDディーゼルミニバン
  23-6. トルク重視の軽自動車
  23-7. スーパー軽. 案1
  23-8. スーパー軽. 案2
  23-9. スーパー軽. 案3
  23-10. 気軽にドリフトを楽しめるコンパクトFR車

第23章:応用編
(スポーツカーを抜き去る軽自動車はできるのか?)


23-1. 夢のクルマ


以上を知って頂いた上で、こんなクルマはいかがでしょうか。

 ①FR車を抜き去る、トルク重視のFF小型スポーツカー
  ②トルク重視の4WD小型スポーツカー
   ③お気楽、4WDディーゼルミニバン
    ④峠で早い、トルク重視の軽自動車
     ③気軽にドリフトを楽しめるFR車


以下実現度を含めて考えてみます。


23-2. トルク重視のFF小型スポーツカー


高回転エンジンを搭載したFFスポーツカーは既にいくつかありますが、1600ccエンジンにターボもしくはスーパーチャージャーを付けた少排気量”高トルク”エンジン搭載スポーツカーはいかがでしょうか?

FFのためFR以上にカーブでの運転は難しいでしょうが、TWRが50kg/kgf・m以下であれば、成りもの入りのトヨタ86や大排気量車にも置いておかれる事はないでしょう。

と言いつつ、外観が若干異なりますが、実はこの夢にかなり近いクルマは既に存在していました。

それが1600CCエンジンに、可変バルブタイミング、ダイレクト燃料噴射、小型高効率ターボを搭載した日産のJUKEです。

多少重心が高いハンディがありますが、これでしたらTWRも53kg/kgf・mですので、2000ccクラスの高回転スポーツカーより格段に早いのは間違いありません。


という訳で、早速これとトヨタ86のエンジン性能曲線を比べてみました。


最大馬力が多少劣りますがますが、トルクの差は歴然で、86がどんなに頑張ってもJUKEターボに追い付けないのは一目瞭然です。

それに加えて、駆動方式ははFF(もしくは4WD)でトラクションはFRより明らかに優れていますので、直線ではまったく勝負にならないと言っても良いでしょう。

強いて言えばJUKEの方が重心が高いのが多少ネックと言えるかもしれませんが、(2輪ならともかく)安定した4輪の場合自動評論家が言う程の違いはなく、見通しが良い分運転し易い事を考えればさほどのハンディにはなりません。

見てみたいと思いませんか、JUKEとトヨタ86の峠のバトルを。


23-3. トルク重視の4WD小型スポーツカー


次は、トルク重視の4WD小型スポーツカーです。

これも本書のお勧めは、前述と同じJUKEです。

JUKEの4WDを選べば、何と4輪の駆動力を変えて曲がるトルク操舵機能を備えていますので、より早くより安全にコーナを曲がる事ができるいう訳です。



このトルク操舵(トルクベクトロ)ですが、かなり画期的な技術です。

突然ですが、戦車やブルドーザーなどキャタピラで駆動する車両には向きが変わるタイヤなどは付いていませんが、どうやって方向を変えるかご存じですか?


戦車は左右キャタピラの駆動力を変えて旋回する

それは左右のキャタピラの駆動力(実際にはトルク)を変えて向きを変えているのです。

更に左右のキャタピラの回転方向を逆にする事で、その場で180度向きを変える事もできるのです。

これを応用したのがトルク操舵で、まさに最も曲がり難い4WDを最も安定して曲げる機構なのです。

日産の公式HPを見ると、以下の開発者のコメントが載っていますが、これは非常に興味の湧くシステムです。

”いつもは怖くて速度を落としてしまう様な急なカーブでも、いつもより早いスピードで、少ない舵角で駆け抜けることができます。”

これは一度味わってみるしかありません。


23-4. 国産映画


この記事の通りかどうか、実際にJUKEとFRスポーツカーのバトルを見たくありませんか?

自動車の技術力では完全に世界一となった日本でも、本格的なクルマを題材にした映画は作れないものでしょうか?

    

世界中の都市を見ても、首都高の様に夜景の美しい環状線ハイウェイは無いので、ここでバトルシーンを撮影できれば想像するだけでもワクワクします。

それを見て外国人観光客も一気に増えるし、日本車のイメージも高まると思うのですがいかがでしょうか。

ハードの次はソフトです。


23-5. 4WDディーゼルミニバン


エンジンは次世代ディーゼルで、駆動方式は4WD、前車捕捉式クルーズコントロール付きのお気楽5ナンバーサイズのミニバンはいかがでしょうか。

ディーゼル搭載に伴い、前輪が適度にヘビーになる事で、高速の直進安定性も良く、4輪駆動に伴い限界性能も高く安全性大。

これに初代イプサムクラスの5ナンバーサイズのボディーを乗せれば、ツウ好みのミニバンになると思うのですが、いかがでしょうか?


23-6. トルク重視の軽自動車


従来より軽のスポーツカーはいくつかリリースされましたが、どれも話題にはなるものの、営業的には全く振るいませんでした。

               

この理由は簡単で、風の抵抗が少ない分だけ高速ではさほど不満はないものの、一般道や山道ではどんなにアクセルを踏んでも、全く普通車に追い付けなかったからです。

すなわち、明らかにトルクが足りないからです。(上段のグラフでコペンが健闘している様に見えますが、大人が一人乗った状態で再計算すると、下位に下がります)

もしこの軽が、険しい山道でも高額スポーツカーと伍してバトルを展開できたとしたらいかがでしょう。興味は湧きませんか?

そのためには、前述の赤いグラフで示すトルクウェイトレシオを、最低でも50kg/kgf・m以下(現在は100kg/kgf・m前後ですので約半分)にしなければなりません。

具体的には、車体重量500kg以下でトルク10kgf・m以上であれば良いのですが、そう簡単にはいきません。

ご存じの様に、最近の軽自動車ですと、重量は既に約800kgを超へ、最大トルクはターボ付きでもせいぜい10kgf・m前後ですので、これで車重を500kg以下にするのは至難の業です。

と言いながら、実のところ可能性は十分あります。


23-7. スーパー軽. 案1


まず軽量化の方法ですが、少々突飛で非現実的に聞えるかもしれませんが、空冷エンジンです。

前記しました様に、トヨタS800もホンダZも空冷2気筒エンジンを搭載していましたし、少々カテゴリーは異なりますが、ポルシェ911(VWビートル)も以前は空冷エンジンでした。

とは言えアイドリング時のエンジン冷却、或いはヒータの効きの悪さから現代のクルマからは消え去ったものの、アイドリングストップ機構や電池の改良によって復活できる可能性もあります。

という訳で空冷エンジンを積めば、ラジエターやウォータポンプが無くなる分かなりの軽量化が可能になり、それやこれやで何とか500kgを達成できたとしましょう。

次にトルクですが、できればビッグシングル(660CCの単気筒)にしてでもトルクを増やしたい所ですが、さすがに振動を考えるどうしても2気筒は必要でしょう。

               
     空冷2気筒エンジン搭載モーガン   水冷2気筒ターボエンジン搭載フィアット

とすると1気筒当たり330CCの2気筒ではどう頑張ってもトルクは6kgf・m程度で、10kgf・m以上には遠く及びません。

となると残る手はただ一つ。排気ガス対策で完全に駆逐された、2サイクルエンジンです。

これですと4サイクルエンジンの2倍の爆発がありますので、トルク10kgf・mは軽くクリアできます。

環境対応から2サイクルエンジンの復活はないと思われているかもしれませんが、直噴2サイクルエンジンでしたら、それなりの障壁はあるものの、十分可能性はあります。

実際ヤマハは、船外機で既に直噴2サイクルエンジンを開発しています。

空冷2サイクルエンジンを搭載したトルクウェイトレシオ5.0の完成車を、想像してみて下さい。

高速での最高スピードは確かに劣るものの、峠に着くやいないや、エンジンオイルの僅かに青味がかった排気ガスと2サイクルエンジン独特の甲高い音を立てながら(これらの特徴も消さなければなりませんが)、2000CCクラスの名だたるスポーツカー執拗に追いたてる軽自動車の姿を。

1台くらいあってもいいのではないでしょうか?





23-8. スーパー軽. 案2


上記では、2サイクルエンジン、それも空冷エンジンと、述べましたが、現在の排ガス規制と昇温対策から考えると、全くもって非現実的です。(そのために両者とも激減しています)

このため、水冷2気筒エンジンにターボを装着するというのはいかがでしょうか?。

調べてみるとありました。
以前ホンダにCX650ターボというバイクがあったのですが、これですと670CCの水冷4サイクルV型2気筒OhV4バルブにIhI製ターボチャージャーを付けて10.5 kgf・m/ 4500-7500rpmのトルクを絞り出していました。

このエンジンを軽自動車のボンネットに積めば、一気にスーパー軽の完成です。これがそのまま入るとは思わないものの、2気筒水冷ターボエンジンでも、トルク重視のスーパー軽は可能なのです。

馬力重視の日本では、余程の状況変化がなければ発売される事はないでしょうが、期待を込めて書いておきます。


23-9. スーパー軽. 案3


と書いたのですが、2011年の国内モーターショーで何と2気筒ターボエンジン搭載の軽自動車(ディークロス)が出展されていました。 以下ダイハツhPからの引用

低回転からの太いトルクと、低燃費性能のさらなる向上。
排気量:660cc
出力 :64PS/6,000rpm
トルク:11.2kgf・m/2,000rpm

生憎車重が公表されていないのですが、見る限り700kg超となるのは間違いないでしょうから、TWRは頑張って63kg/kgf・mでしょう。
折角の2気筒ターボですので、車重がこれ以上減らせないのであれば、何とかトルクを14kgf・mまで持っていってほしいものです。 コペンの4気筒ターボですら、回転数は異なるもの同じトルクですし、ターボでしたら理論上数倍のトルクをアップできます。

もしこれが達成できれば、車重700kgでTWRがジャスト50kg/kgf・mになり、一気にハイパフォーマンス車の仲間入りです。

低速走行時の振動面で開発が難航している様ですが、多少の振動があっても(万人用の高燃費車ではなく、高額車と加速で競える若者用のクルマとして)早く出てきてほしいものです。

2気筒の振動と聞いて、ネガティブに捉える方が居るのは間違いありませんが、一方では2気筒の鼓動とポジティブに感じる方も居る事を忘れないでいてほしいものです。

伏兵

呑気にそんな話をしていたら、予想外の伏兵が現れました。

それが英国製のセブン160(旧名称:ケータハム160)です。

 

当初はケータハム130として発表されましたが、その後名称とエンジンスペックが変わって、以下の様になっています。

仕様 ケータハム130 セブン160 (ケータハム160)
最高出力 47kW (64PS) / 5,500rpm 58.8kW (80PS) / 5,500rpm
最大トルク 104Nm (10.6kgm) / 3,400rpm 107Nm (10.9kgm) / 3,400rpm

この馬力アップは画期的な事で、今まで軽の自主規制であった64PSを25%もアップしています。

恐らくTPPを考慮して、当局が認可したのでしょう。

車両重量は490kgのままですので、PWRは6.13、TWRは45.0ととんでもない値になります。

馬力アップはターボの調整で可能だとしても、よもや軽自動車で500kgを割る車両ができるとは全く予想だにしていませんでした。

これをいつものチャートに載せると以下の様になり、何と高性能グループに仲間入りです。


この軽自動車がバックミラーに映ったら、並み居る高回転スポーツカー達は道を譲るしかありません。


ただしとてつもなく小さいので、真後ろに着かれるまで誰も気が付かないかもしれません。


23-10. 手軽にドリフトを楽しめるコンパクトFR車


今までFR車について少々辛口なコメントを述べてしまいましたが、その気で乗って面白いのはやはり後輪が滑り易いFR車です。

FR車の代表と言えばトヨタ86やフェアレディーZでしょうが、いかんせん価格も含めて豪華になって、どうみても年配者向けと言わざるを得ないでしょう。

そこで安くて、軽くて、エンジンにも簡単に手を入れられて、後輪が簡単に滑るといえば、懐かしいFRスターレットです。


1300スターレット(730kg)

1300CC前後のエンジンですので、直線でアクセルべた踏みでも120km/h程度しか出なかったのですが、後輪が軽いため雨の日では交差点でも簡単にドリフトを楽しめ(否応なしに滑ってい)ました。

もし若者用のFR車というのならば、この様なシンプルなクルマを出して貰えないものでしょうか?

話は多少外れますが、小遣いを携帯に持って行かれているのも事実でしょうが、最近のクルマは複雑になって自分では殆ど触れなくなったのにも若者離れの一因がある様に思います。

TOYOTA S-FR

数年前に上の様な事を書いていたら、トヨタが2015年のモーターショーにてTOYOTA S-FRを発表してくれました。


エンジン性能は不明ですが、できる事なら3気筒の1,200㏄前後で、素の車重が800kg、価格が150万円前後とはならないでしょうか。

そのためならば、後輪は車軸懸架でも構いません。





第23章: 応用編

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第24章: まとめ





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