小学生でも分かる
ホイールアライメントの話

2015/04: 初版
2016/05: 改訂


目次


  1. はじめに
  2. 結論
  3. 直進性能と旋回性能
  4. キャスター角の効果
  5. キャスター角は常に有効ではない
  6. キングピンとスクラブ半径
  7. キングピン角
  8. タイヤの横変形とスクラブ半径の関係
  9. スクラブ半径の走行時への影響
 10. キャンバー角の効果と弊害
 11. トウはゼロが最適値
 12. まとめ

1. はじめに


キャスター、キングピン、トウ、キャンバー等、聞いた事はあるものの、ホイールアライメントの実態を正確に理解しようとするとかなり苦労します。


そもそもタイヤは上から見ても、前から見ても、横から見ても、真っすぐなのが一番自然で抵抗が少ないはずなのに、なぜ傾ける必要があるのでしょうか?

 
キャンバー             トウ


ハンドルを軽くするためだ、直進性能を高めるためだ、旋回性能を上げるためだ、と書かれてはいるものの、何をどちらに傾けると何がどう変わって、その弊害は何なのか皆目分かりません。

そして一番知りたいのは、その理由です。

なぜタイヤを傾けると、直進性能や旋回性能が上がるのでしょう。

という訳で、小学生でも分かるトルクと馬力の話の別冊として、ホイールアライメントについてもまとめてみました。

理論を優先するために一般的に言われている事と多少異なる見解も多々含まれていますが、ここは一つ読者にどちらが正しいか判断を委ねたいと思います。

恐らく旧来のアライメント理論や調整方法が正しいと信じられて方には、びっくりされる様な話が満載ですので、お役に立つ事請け合いです。



2. 結論


それでは本サイトの恒例で、先に要点をお伝えしておきたいと思います。

1) キャスター角

前輪の操舵回転の中心軸と垂直線との傾きをキャスター角と呼び、キャスター角が大きいとタイヤを進行方向に向ける力が発生し、直進性能が良くなる。

   
ただしアクセルから足を離した瞬間にこの力は失われ、更に後退時にはタイヤは180度反転しようとする。

2) スクラブ半径

操舵回転軸の中心(キングピン中心)からタイヤの接地面中心までの距離をスクラブ半径と呼び、スクラブ半径が小さいほど、操舵力は軽くなる。


このスクラブ半径は、クルマの操舵特性に大きく影響する。


3) キングピン角

キングピン角を大きくすると、ハンドルの操作力は重くなるが、ハンドルの中立への回復力が大きくなるので、直進性能が増す。


4) スクラブ半径

スクラブ半径をポジティブにすると、FR車の場合タイヤは外側に、ネガティブにすると内側に向かおうとする力が働く。またハンドルも取られ易くなる。

スクラブ半径がポジティブの場合のタイヤが向かう方向(FRの場合)

上図の赤点が操舵中心を示す。

またFFの場合、FRと逆の特性になる。

スクラブ半径がポジティブの場合のタイヤが向かう方向(FFの場合)
 


5) オスセット

オフセット量がオリジナルと異なるホイールを装着すると、スクラブ半径が変わるのでクルマの特性が大きく変わる恐れがある。


6) キャンバー

キャンバーとはクルマの正面から見た時の、タイヤの傾きを指す。

低中速域でコーナリングフォースを得たいのならば、キャンバーをポジティブ、タイヤ外側に十分な荷重が掛かる程度の高速旋回ならばニュートラル、タイヤが横変形する程の超高速旋回ならばネガティブにする。


ただし今時のクルマで無茶な運転をしない限り、キャンバー角は0度が理想値である。

7) トウ

トウとはタイヤを上から見たときの傾きを指すが、トウを傾けると当然ながらタイヤが無駄に磨耗する事から、他の弊害を補える程の利点はない。



3. 直進性能と旋回性能


細かい説明に入る前に、言葉の定義をしておきたいと思います。

よく自動車雑誌の記事に、このクルマは直進性能が良いだの旋回性能が悪いだのと書かれていますが、一体何なのでしょう?

人によって認識が違う可能性もありますので、言葉の定義をしておきたいと思います。

とは言え、調べてみてもJISやISOに定義されていない様なので、取り敢えず以下の様にしたいと思いますがいかがでしょうか?

直進性能 一般道でクルマが直進走行中、その進行方向を維持する能力
旋回性能 クルマがドライバーの意思に沿って高速で旋回できる能力


ですので、直進性能の良いクルマですと、ハンドルにそっと手を添えているだけで真っすぐ走り、悪いクルマですと、路面のちょっとした変化でタイヤがあっちを向いたりこっちを向いたりするため、常時ハンドルを握り締めていなければならず、ヘトヘトに疲れ切ってしまいます。

また旋回性能の劣るクルマですと、カーブを曲がろうとハンドルを切っても曲がらない、或いは意図した以上に曲がってしまう、更には簡単にスピンしてしまう事になります。

それではホイールアライメントが両者にどう関係するか、順番に見ていきたいと思います。




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4. キャスター角の効果






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