小学生でも分かる
ホイールアライメントの話



目次


  1. はじめに
  2. 結論
  3. 直進性能と旋回性能
  4. キャスター角の効果
  5. キャスター角は常に有効ではない
  6. キングピンとスクラブ半径
  7. キングピン角
  8. タイヤの横変形とスクラブ半径の関係
  9. スクラブ半径の走行時への影響
 10. キャンバー角の効果と弊害
 11. トウはゼロが最適値
 12. まとめ

6. キングピンとスクラブ半径


次にキングピンとスクラブ半径についてご説明したいと思います。

1) キングピン


キングピンとは、下の図にあります様に前輪の操舵回転の中心となるピンの事です。


ハンドルを切ると、このピンを中心にフロントタイヤが左右に向く事になります。

今時の乗用車の操舵機構はボールジョイントで構成されておりピン自体は存在しないのですが、説明が容易なのでこの図を使ってスクラブ半径についてもご説明したいと思います。

2) スクラブ半径


次にスクラブ半径です。

下左の図を見て頂きます様に、スクラブ半径とはキングピンの中心、すなわち操舵中心線とタイヤの中心線の間隔の事です。


これをなぜスクラブ半径と呼ぶかですが、スクラブ(scrub)とは擦るという意味です。

すなわちクルマが止まった状態でハンドルを左右にいっぱい切ると、下の写真の様にタイヤに路面を擦った跡が残ります。


この回転中心とタイヤの中心の差を、スクラブ(擦った痕跡)半径と呼ぶという訳です。

なお本来半径とは円の中心から円周までの距離を指すのですが、英語でもScrub radiusとありますので、大目にみておきましょう。





3) スクラブ半径とステアリング特性の関係


では一体これが何に影響するかですが、もう一度下の図を見て頂けますでしょうか。



左の図は操舵中心線とタイヤ中心線がずれているのに対して、右の図は操舵中心線とタイヤ中心線が同じ(スクラブ半径がゼロ)になっています。

答えは図中に書かれているのですが、左の場合ハンドルを回すのが重く、右は軽いのです。

その理由は、操舵中心(支点)から離れた所に抵抗となる負荷(力点)があるため、テコの原理で重くなるという訳です。

今でこそパワーステアリングが一般的になってきましたが、一昔前は低速時にハンドルが非常に重く車庫入れやUターンでも一苦労でした。

ところで、一部のネット記事には、スクラブ半径があるとハンドルを切るとタイヤが回転する方向なので軽くなるといった記述がありますが、前述のタイヤについた路面の痕跡を見て頂ければそんな事はないのは分かって頂けると思います。

またスクラブ半径が大きい場合のもう一つの問題として、路面の影響によって走行時にハンドルが取られ易くなる(路面からのキックバックが大きくなる)事が挙げられます

例えば上左の図において、タイヤが路面の段差にぶつかると、その反動でタイヤが外側に向こうとしますので、しっかり握っていないとハンドルが一瞬回ろうとします。

しかしながら、上右の図の様に、スクラブ半径がゼロであれば、例え段差にぶつかっても、タイヤの向きを変える力は発生しません。

4) まとめ


上記を表にまとめると、以下の様になります。

項目 スクラブ半径
利点 操舵力が小さくなる。
ハンドルが取られ難い。
操舵力が大きくなる。
ハンドルが取られ易い。
その他 構造上スクラブ半径を
小さくするのは難しい。
構造上簡単である。

また文章でまとめると以下の通りです。

キングピンとは、前輪の操舵回転の中心となるピンの事である。

操舵中心からタイヤの中心までの距離をスクラブ半径と呼び、スクラブ半径が小さいほど、操舵力は軽くなり、路面からのキックバックも少なくなる。


となると当然上図の右の様にスクラブ半径を可能な限り小さくしたい所ですが、小さなホイールの中に操舵中心を入れるのは至難の業です。

そこで考えられたのが、次のキングピン角です。




6. キングピンとスクラブ半径

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5. キャスター角は常に有効ではない

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7. キングピン角






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