小学生でも分かるトルクと馬力の話 
(本当に早いクルマとは?)

                     Index



                    What's New?





1.トルクと馬力


1-1.はじめに

トルクと馬力の話は自動車雑誌等にしばしば出てきますが、両者の差が感覚的に分かり難いので、正確に認識されている方は少ない様です。

また図書館で調べてもいきなり難解な絵と計算式が出てくるし、ネットで調べても意味不明な解説、もしくは明らかに間違った記述があり、どうしてもしっくりこない様です。

と言う訳で、ここでは難しい計算式は極力省略して、小学生にも分かる様にトルクと馬力の違いを分かり易く説明してみたいと思います。

また比較的誤解の多いクルマの基本的特性をお伝えして、最後に峠で本当に速い国産車を定量的にイメージしてみたいと思います。

と思って書き始めたのですが、思い付くまま書き込んでいるうちに、いつのまにか計算式まで入って長くなってしまいました。

このため、難しい部分、或いは不要な部分は遠慮なく読み飛ばして下さい。

多少独りよがりの部分はあると思いますが、本書を機会に、少しでも算数と理科と英語に興味を持って頂ければ幸いです。

1-2.トルク

先ずトルクとは、クルマのタイヤを回すための力です。

感覚的に分かり易くするため自転車を例にすると、ペダルを押す力(下図の赤矢印)です。
         
ですので、トルクが大きいというのは、ペダルを押す力が強いという事です。

ではペダルを押す力が強いと、どうなるでしょう?

そうです、自転車の出だしが良くなる。すなわち加速が良くなります。また登り坂でも軽々進む事ができます。






1-3.馬力

次に馬力ですが、トルクはあくまでも瞬間的な力なので、その力を持続する事によってどの程度の仕事を行なえるのかを表すために考えられた指標(ものさし)が馬力です。

もっと正確に言うと、ある決められた時間内に、どれだけ重い荷物を、どれだけ遠くまでに運べるかを、馬何頭分に当たるかで表示したのが馬力という訳です。

自転車の場合、ペダルを踏む力に、ペダルの回転数を掛ければ簡単に出ます。

それでは 自転車において、ペダルを強く踏んで、なお且つ一生懸命回すとどうなるでしょう?

そうです、スピードが速くなるという訳です。

もし自転車に荷物を乗せていたとすると、人が担ぐより短時間で遠くに運べますので、これが馬の力=馬力になります。


1-4.基本のまとめ

以上をまとめると以下の様になります。

トルクとは瞬間的な力(英語でフォースと呼びます)で、大きければ大きいほど出だし(加速)が良くなります。

馬力とは継続的な力(英語でパワーと呼びます)で、大きければ大きいほどスピードが出て、荷物を早く遠くへ運ぶ事ができます。

一般的に馬力が大きいクルマほど出だし(加速)が良いと思われているのですが、加速に影響するのはトルクの方だというのは、先ほどの自転車の例で概ね分かって頂けると思います。

またこれをもっと感覚的に表すと、トルクとは瞬発力(短距離走)で、馬力とは持久力(マラソン)と言えるかもしれません。

これでトルクと馬力のおおよその差は、ご理解頂けましたでしょうか?


1-5.トルクアップの体感方法

今までは自転車を例に説明してきましたが、それではクルマにおけるトルクの体感方法についても、ここで述べておきましょう。

例えば自分でクルマを運転しているとして、アクセルを踏むと加速します。

この加速感がトルクになり、達した速度が馬力の結果になります。

更にもし自分のクルマのトルクがアップした場合の体感方法ですが、ターボを付けたり燃料を変えたりせずに簡単に味わうことができます。

例えば一般道を走っていて、長めの下り坂に差し掛かったとします。

そうすると、アクセルを踏まないでもクルマはゆっくり加速し始め、更にアクセルを踏むと平らな道より軽々と加速するのが体感できると思います。

これこそがまさにトルクアップの効果で、どんなに重いクルマであってもトルクが大きければ軽々と進める(加速できる)というのが実感できると思います。

これを逆に言うと、どんなに軽いクルマであっても、トルクが無ければ気持ち良く加速できないという訳です。






1-6.トルクと馬力は比べられない

この章の最後に、どうしてもこれだけはお伝えしておかなければなりません。

後ほど本書において、”トルク重視のクルマ”と”馬力重視のクルマ”の比較を行ないますが、これは明らかに不正確な表現です。

なぜならば前記しました様に、馬力=トルク×回転数ですので、もし回転数が一定であれば、トルクが上がれば馬力も自動的に上がりますので、比較する意味がありません。

同じ掛け算の式である総額=単価×個数を例にすると、総額が馬力で、トルクが単価になります。

この場合、もし個数(回転数)が同じであれば総額(馬力)と単価(トルク)のどちらが大事かなどとは誰も気にしないのと同じです。

ですのでもし比較するのであれば、この場合単価を重要視するか、個数を重要視するかです。

話を元に戻すと、正確には”トルク重視のクルマ”に対して”回転数重視のクルマ”と述べるのが、正しい表現です。

ただし本書においては分かり易さを優先するため、”回転数重視のクルマ”の代わりに、一般的に使われる”馬力重視のクルマ”を使う事にさせて頂きます事ご容赦願います。


1-7.ドリルのトルクと回転数の関係

ここまで読んで頂けると、以下のトルクと回転数と馬力の関係について、何となく分かって頂けたのではないでしょうか?

               馬力=トルク×回転数

という訳で、ここで少々クルマから離れて面白い事をお伝えしたいと思います。

ドリルを使って鉄板に直径1mmと10mmの穴を開けようとしています。

使用するボール盤は、ベルトの位置を変えて速度を高/中/低速の3段階に調整できます。

          

さて効率良く1mmと10mmの穴を開ける場合、ドリルの回転数をどう設定すれば良いでしょうか?

感覚的に考えると、細い1mmのドリルを高速で回転させると鉄板に合たった瞬間にポキッと折れそうな気がするので1mmのドリルは遅く、10mmのドリルは勢いを付けるために早く回した方が良い様にだと思いませんか?

逆です。

もし1mmのドリルを低速回転するとその分トルクが大きくなるため、少しでも鉄板に強く押し当てると簡単に折れてしまいます。ですので高速回転にしてトルクを小さくしなければなりません。

またもし10mmのドリルを高速回転させるとトルクが小さくなるため、少しでも鉄板に強く押し当てると簡単に止まってしまい穴を開ける事ができません。ですので低速回転にしてトルクをアップしなければなりません。

同じ馬力(パワー)であっても、高トルクにするか、低トルクにするかで作業効率が全く違う事を分かって頂けたでしょうか?





2.トルクとは


2-1.トルクの求め方と単位

2-2.力の単位kgfとは

2-3.N(ニュートン)とは

2-4.単位について

2-5.加速とは

2-6.トルクとモーメントの違い


     


3.馬力とは


3-1.1馬力でできる事

3-2.馬力からスピードを計算する

3-3.風の抵抗

3-4.馬力とワットの関係

3-5.人間の馬力

3-6.自転車の馬力

3-7.馬力とトルクのジレンマ

3-8.ワークとエネルギーとパワーの関係

3-9.英語と算数の勉強



   

4.エンジン性能曲線


4-1.エンジン性能曲線

4-2.グラフのマジック

4-3.ギヤ比を変えたらトルクと馬力はどうなるのか

4-4.馬力の算出

4-5.F1エンジンのトルク

4-6.高回転エンジンと高トルクエンジン

4-7.高回転エンジン

4-8.変速ギヤ数

4-9.運転におけるトルクの重要性

4-10.エンジン回転数と燃費の関係


   


6.トルクと加速度の関係


6-1.トルクから加速度を計算する方法

6-2.ニュートンの第2法則

6-3.クルマの加速度の求め方1

6-5.GT-Rの加速度を計算する

6-6.加速度計算の応用編

6-7.加速度計算のまとめ

6-8.加速を良くするには


  


7.トルクとは


7-1.燃費におけるトルクの重要性

7-2.4気筒エンジンと6気筒エンジン

7-3.サーキットで早いクルマが一般道でも早いか?

7-4.ディーゼルエンジン

7-5.ギヤ比

7-6.ディーゼル車VSスポーツカー


  


9.雑学


9-1.クルマの剛性

9-2.電気自動車

9-3.黄色のフォグランプは何か効果があるのか?

9-4.AT車とMT車

9-5.ハイオクガソリン

9-6.フェンダーミラー
9-7.ワックス掛け


  


10.駆動方式


10-1.一番優れた駆動方式は?

10-2.坂道における前後輪の荷重

10-3.坂道での接地力

10-4.曲がり難いクルマ

10-5.駆動方式にマッチしたクルマ

10-6.雪道で路肩に落ちている車両は?

10-7.駆動方式のまとめ

10-8.FFとFRどっちが早い

10-9.RRの基本性能とポルシェ911

10-10.アンダーステアとオーバーステアーに関する誤解


  


11.サスペンション


11-1.サスペンションの話し

11-2.ダンパーについて

11-3.サスペンションが固いと本当に早いのか?

11-4.車軸懸架と独立懸架

11-5.スタビライザーの効果とは?

11-6.バネ下荷重が軽いとタイヤの接地性が良い?

11-7.接地性/追随性は日本語か?←


  



11a.ブレーキ


11a-1.ディスクブレーキとドラムブレーキ

11a-2.ドラムブレーキ最大の欠点

11a-3.ディスクブレーキ最大の長所

11a-4.今でも起こるカックンブレーキ

11a-5.カックンブレーキの原因


  



11b.タイヤホイール


11b-1.アルミホイールは軽いのか?

11b-2.アルミの知られざる特徴?

11b-3.バネ下荷重軽減効果はバネ上荷重の10倍?

11b-4.ワイヤーホィールのお勧め



  



11c.クルマの姿勢と安定性


11c-1.発進時にクルマ後部が沈むのはなぜ?

11c-2.減速時にクルマ前部が沈むのはなぜ?

11c-3.コーナの安定性と重心についてⅠ

11c-4.コーナの安定性と重心についてⅡ


  



12.タイヤ


12-1.タイヤは太い程グリップは良いのか??

12-2.扁平タイヤのコストパフォーマンスは?

12-3.タイヤの空気圧

12-3a.雨で滑り易いタイヤの空気圧はどっち?

12-4.タイヤに窒素ガスは有効

12-5.高級タイヤはやっぱり違う?

12-6.タイヤはグリップが強い程良いのか?

12-7.グリップ力可変タイヤ

12-8.タイヤの種類(太さ/扁平率/グリップ)と特徴

12-9.タイヤの宿命と理想のタイヤ


  


13.空力特性


13-1.空力特性の基礎

13-2.クルマのウィングは効果があるのか

13-3.ダウンフォースの稼ぎ方

13-4.ウィングの本当の効果


  


14.速度と加速度


14-1.一番速いクルマはどれ?

14-2.加速の良いクルマはどれ?

14-3.ホンダZ対トヨタS800

14-4.休憩


  


15.テクニック編


15-1.段差(凸)の超え方

15-2.カーブを早く走る方法

15-3.ドリフト走行は早いのか?

15-4.コーナのライン取り

15-5.上手な運転とは

15-6.雪道での運転テクニック

15-6.カーブでの運転姿勢


  


16.実用編Ⅰ


16-1.峠で速いクルマとは

16-2.TWRとPWRの分類

16-3.散布図の活用方法

16-4.PWR(パワーウェイトレシオ)の単位とその意味

16-5.TWR(トルクウェイトレシオ)の単位とその意味


  


17.実用編Ⅱ


17-1.羊の皮を被った狼

17-2.国産最速FF車

17-3.トヨタ86/スバルBRZは本当に早いのか?

17-4.トヨタ86 VS ホンダS2000

17-5.マツダCX-5

17-6.CX-5ディーゼルを買うなら迷わず4WD

17-7.トヨタ86(スバルBRZ)対CX-5

17-8.ホンダの逆襲

  


18.応用編


18-1.夢のクルマ

18-2.トルク重視のFF小型スポーツカー

18-3.トルク重視の4WD小型スポーツカー

18-4.国産映画

18-5.4WDディーゼルミニバン

18-6.トルク重視の軽自動車

18-7.スーパー軽.案1

18-8.スーパー軽.案2

18-9.スーパー軽.案3
18-10.FRスターレット


  


19.まとめ


19-1.結論

①馬力は最高スピード、トルクはそこに到達するまでの時間(すなわち加速)に関係する。

②馬力を車重で割れば速度、トルクを車重で割れば加速度が求められる。

③日本では馬力が重要視されるが、常用域であれば運転のし易さ、燃費、静粛性ともトルクが重要である。

④高トルクエンジンの代表格はディーゼルエンジンである。
                                      国産最速FF車
⑤2500ccまでなら4気筒が断然お勧め。

⑥求める運動性能によって、最適な駆動方式は異なる。

⑦一概にアルミホィールが優れているとは限らない。

⑧バネ下荷重の1kg軽減はバネ上の12kgに当たるというのは全くのデマである。

⑨むやみにサスペンション(バネ/ダンパー)をいじってはいけない。

⑩加速度を高めるにはタイヤのグリップ力を上げ、最高速度を上げるにはタイヤのグリップ力を下げなければいけない。

⑪加速すれば後輪に荷重が掛り、減速すれば前輪に荷重が掛る。

⑫国産FF車で最も早いのは、タイプRではなくMAZDASPEED AXELA(写真右上)である。

⑬カーブで最も早いクルマは、4WD+ESC(横滑り防止装置)装着車である。

⑭2000ccクラスのスポーツカーを脅かす軽自動車(2気筒ターボ)は作れる。

⑮残念ながらハチロクは遅い。だがCX-5とJUKEは間違いなく早い。

⑯余程無茶な運転をしない限り、高性能タイヤは無駄だ。

⑰サーキットでも一般道でも、滑らかに走るクルマほど遅く見えるが、実は速い。


20.予告編


20-1.予告編

現在、以下を調査中です。

①”間違いだらけのクルマ選び”に間違いはあるか?
②2速で時速40kmで走るのと、4速で時速40kmで走るのでは燃費に大きな差があるのか?
③空力によるダウンフォースとはベンチュリー効果なのか?
④TWINCAM(DOHC)のメリットは何?
⑤剛度と強度の違いとは?

近々にアップしますので、もし宜しければまた覗いてみて下さい。

以上

Copyright (c) 2010 Urban Cafeteria
This site is link free.


本書に関するご意見/ご感想/ご要望等ありましたら、是非こちらに。

   
                    
                   ホーム頁へ戻る